機関士に憧れるようになったきっかけは、大学時代の乗船実習です。多種多様な機器を扱えること、一人ひとりの責任とやりがいが大きそうなことに魅力を感じ、船乗りになろうと決意しました。海運会社を選ぶにあたり、私が重視したのは“船種”と“人柄”です。船乗りの魅力の一つが、海外の港で上陸できること。その点、バルカーは他の船種より荷役に時間がかかるため、港にいる日数が長く、上陸した際の満足度も高いのではないかと考えました。バルカーに特化した第一中央汽船は、まさに理想の会社でした。そして、決め手になったのは人柄です。船上では万が一の場合、互いに命を預ける可能性があります。それができる仲間を持てるかどうかは、とても大事なことだと思っていました。第一中央汽船の選考では、一貫して丁寧かつ手厚い対応で、私一人にたっぷり時間を割いてくれました。この会社なら安心して船乗りになれると感じ、入社を決意しました。
私は二等機関士として、ボイラ・排エコ・発電機原動機・空気圧縮機といった機器の保守整備や、燃料管理業務などを担当しています。三等機関士のときは、居住環境設備、ポンプなどの補器類や電気関係を担当していましたが、現在はより重要な機器を扱っています。機関士として何より重要なのは、船の運航を止めないことです。そのため、常日頃から担当機器の状態を把握して未然に故障を防ぐとともに、起きたトラブルに対しては最善の対応策を打つことをいつも心がけています。業務中は基本的に機関部にいますが、甲板部のメンバーや外国人乗組員とコミュニケーションを取ることも、信頼関係やチームワークを育むうえで大切です。船内業務や船内生活が円滑に行えるように気を配ることも、私の役目だと考えています。
機器のメンテナンスが完了したときはもちろん、想定以上のスムーズさでやり遂げたときや、人員を的確に配員できたときなどにやりがいを感じます。思い出深いのは、発電機原動機のピストンのメンテナンスです。私が担当するものの中で、最も大掛かりな作業となります。初めて主担当を務め、無事組み終わって正常に試運転できたときは、うれしさのあまりフィリピン人クルーとハイタッチを交わしました(笑)。また、補油作業では計画から事前準備、補油最中の監視、終了まで全ての工程において細心の注意を払い安全を確保します。無事トラブルなく補油できたときは、大きな達成感を覚えます。
初めての航海は覚えることが盛りだくさんで、特に最初の2ヶ月は本当に大変でした。でも、出港から3ヶ月ほどが経ち、主要なメンテナンスが一巡する頃には、ひと通りの流れを把握。フィリピン人クルーとも打ち解けて、航海が楽しくなってきたことを覚えています。それ以降は別の船にも乗りましたが、基本を身につけた状態なので、初乗船時ほどの大変さはありませんでした。三等機関士の時期から二等機関士の担当機器や業務を学んでいたため、昇格後の乗船では二等機関士としてスムーズに勤務することができました。入社5年目には、今後の陸上勤務に備えて研修乗船を経験。馴染みのある専用船ではなく、クレーンを搭載した不定期船に初めて乗りました。担当機器を持たず、甲板部の作業や荷役作業などを自由に見学させてもらった3ヶ月間は、非常に有意義でした。
これから初めての陸上勤務がスタートします。新造船や船の性能解析などを担当する部署へ着任予定です。これまでの乗船経験を生かしつつ、新たな知識を身につけ、より広い視野で海運に携われるようになれたらと考えています。そして数年後には一等機関士を務めることになるので、後輩から頼られる存在になりたいです。そのためには機械についてはもちろん、労務関係についてもきっちり把握する必要があります。これまでもそうだったように、あらかじめ準備を進めておくつもりです。第一中央汽船の魅力は、やはり人柄に尽きます。機関部・甲板部を問わず質問しやすく、気兼ねなく意見を言えます。この風通しの良さを、私自身もつくっていきたいと思います。